石橋郁子著「京のわる口、ほめころし」を読んで|「ぶぶづけ」の意外な意味

2004年、淡交社発行。
サブタイトルは、「京の不思議と素敵な話」。

京都といえば「一見さんお断り」と「ぶぶづけ」しか知らなかったのですが、この本はまさにこの2つで始まります。このような目次を見せられては読まないわけにはいけません。

一見さんの件はともかく、「ぶぶづけ」の話は意外です。
一般的には「ぶぶづけでも」と言われたら「もう帰ってください」の意味だとされていますが、この本では訪問する側・される側の相互の「おもてなしの心」と紹介されています。

「ぶぶづけでも」と言われたら「もう食事の時間だから」と訪問者側が遠慮する。その一方で、訪問されている側は食事時になったなら「ぶぶづけ(=質素な食事)でも」と訪問者が気を使わないように勧め、実際には仕出しをお出しする。来訪者側も、ここまで勧められたら、気持ちよく応じる。この相互の応接が「ぶぶづけでも」の真相のようです。

間口が狭く奥行きの長い家での、暑い夏の涼の取り方。すばらしい工夫があります。家の前の坪庭にたっぷりと水を撒き、その一方で奥座敷に面した奥の庭には水を撒かない。2つの庭の一方だけ湿らすことで空気の流れをつくるのだそうです。

人間関係に関する記述も興味深い。借りをつくることで自らの立場が弱くなることを嫌う「位どり」、自らの立場や意見を言わずに「察してもらう」言葉遣いなど。「ごきんとはん」「いけず」などの言葉の説明とともに人間関係が紹介されています。歴史的に権力者が入れ替わり立ち替わりした京都の町では、自らの立場や意見を言わないことこそ生き延びる道であった、という記述には「なるほど」と思うばかりでした。

最後に「京都商法」。「京都商法」=「持続する商売」で、その胆は「信用」。テレビのニュースなどで「持続可能な×××」のような言葉を聞きますが、京都がルーツなのかもしれません。

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