カテゴリー別アーカイブ: 読書

畑正憲著 「ムツゴロウの無人島記」を読んで

文芸春秋社から1977年に第1刷発行。手もとの本は1981年の第6刷で、なんと文庫本1冊280円。昔は安かった。

著者は、自分が子供のころテレビ番組の動物王国で見ていた畑正憲さんなのだが、とにかく文章が面白い。

まずは冒頭に出てくる「舟長」で、「しゅうちょう」と読むことになっている。
これは、「酋長」にひっかけた読ませ方になっている。
無人島で生活するための船を買って「船長」になったという話だが、畑正憲さんが長となり家族6人で無人島生活をするから、氏族・部族の長である「酋長」にひっかけた、ということだろうか。
そのあたりのことは、同書には説明されていないから分からない。
いずれにせよ、実際にこの本を読めば、「酋長」→「舟長」とつながっていくあたりの面白さは分かると思う。

ところどころ、「あれっ?どういうこと?」と思う場面もあるが、いちいち考えてはいけない本になっている。
文章の面白さに乗じてサラサラと読み進める本だ。著者ご本人も、以下のように言っている。
(人は)少々おかしいところがあっても我慢する義務がある。
※括弧内は、当ブログの筆者が補った。

その一方で、「へぇ~」と思える知識も盛り込まれている。
たとえば、海が時化た場合は、太いロープを船の後尾から海へ流せば、横波を食わない、というのがある。
なるほど、ロープが尻尾になって、船本体が波に対して垂直に向くことは想像できる。
他にも、漁の網を引くときは、ゆっくり引けば、網の目から水が逃げて、チカラは要らない、などなど。

最も印象的だったのは、3日間東京に出た話し。買い物や食事をしている都会人を見て、
おれたちみたいに、一日の大半が遊びで、日曜日があるのを忘れているなんて、これはもう日本では特権階級に属するのだぞ
うん。うらやましい。

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藤沢秀行・米長邦雄著 「勝負の極北」を読んで

サブタイトルは、「なぜ戦いつづけるのか」。
1997年、クレスト社から発行されている本です。

感想は、「とてもではないが真似できない」の一言です。
著者のお二人はスーパースターなので、一般人に真似できないのは当たり前だし、真似する必要もないのですが。
でも、やはり「憧れ」のような気持ちは出てきます。

豪快・豪放なイメージのお二人ですが、その一方で緻密さを感じます。
細かいことを正確に処理して、それを積み上げることを根気よく続けたから「突き抜けた存在」になったのではないかと思います。
そして「突き抜けた存在」だからこそ、皆の憧れ感から、豪快・豪放のイメージになったのでしょう。

ここで、緻密に処理することに関して、ひとつ疑問が出てきます。

たとえば、同書では、米長邦雄さんが難しい詰将棋の本をクリアした記述があります。
緻密な考慮を繰り返して、詰将棋の本をクリアした結果、四段になった、という話です。

この話を一般人に当てはめてみます。
一般人が成功しようとするとき、全ての項目を緻密に処理しようとすると時間切れを起こすので、

  • 緻密に処理すべき項目は、何か。
  • どの程度までやれば、緻密に処理したと言えるのか。

を判断することになると思います。

でも、この判断が難しい。
この判断は、どうするのでしょうか。
これが、私の疑問です。

米長邦雄さんは、この2つを的確に判断して、詰将棋の本を選択し、全ての問題を「ヨミ切った」と言えるレベルまでヨンだのだろうと想像します。
この判断ができる能力も、「突き抜けた存在」になるための要素のひとつなのだろうと思います。

何を、どの程度。
まさに、戦略論の世界だと思いますが、プロの棋士になるよう人であったからこそ、採用できた戦略だったと思います。

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宇都出雅巳著 『絶妙な「聞き方」』を読んで

標題の書籍は、2012年にPHP文庫から出ています。2006年発行の『絶妙な「聞き方」の技術』を改題・再編集したものだそうです。

実は、この本を読み終わって、しばらく経っても、なお勘違い(思い違い)していることがありました。

それは、本のタイトルで、正しくは『絶妙な「聞き方」』なのですが、『微妙な「聞き方」』だと思い込んでいたことです。

もう10年以上前のことだと思いますが、私の周囲では「微妙」という言葉が流行り、誰も彼もが「微妙、ビミョウ、びみょう」と連発し、それが頭から離れないからです。振り返ってみると、この「微妙」という言葉は、人の意見とか物事とかを「やんわりと否定」するために用いられていたと思います。

そんな経緯があったものですから、多少の違和感を持ったまま、この本を読み進めることになってしまいました。

さて、タイトルが正しく認識できたところで、この本を振り返ってみます。

あらためて、この本のテーマは、積極的に上手に聴くための技術です。この技術を用いて、人とかかわり、相手の人生も自分の人生も豊かにすることが期待されています。

本のタイトルは「聞く」ですが、本文中は「聴く」と表記されています。「聴く」は耳だけでなく、心でも聴くことを表す、と説明されています。なるほど、「聴」という漢字には「心」が含まれています。

章立ては、6つ。聴き方や聴く対象について、6つの「聴く」が述べられています。ネタバレにならないよう、ここでは紹介を控えます。

総じて、前向きな明るい内容の本です。

ただ、ひとつだけ。
もし、この本に書いてあることを100%実行する人が自分の目の前に現れたら、「気持ち悪さ」を感じるかもしれません。程度の問題だとは思いますが。

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「宮塚英也の8週間で誰でもトライアスリートになれる 確実、安全にレベルアップするトライアスロンの練習プログラム決定版」を読んで

今から10年前、ジョギングを始めて1年近く経った頃に買った本です。今でも時々読み返します。

著者の宮塚英也さんはデビューから実に15年間もトップ選手であり続けた人です。
これは初心者向けの入門書ですが、宮塚さんが長期間、第一線で活躍できた理由がわかります。

この本を読んでまず驚いたのは、練習量の少なさ。
1週間の練習時間は少ない週で2時間弱。多い週でも5時間弱。練習の強度は、最大心拍数の70%ほどで行う練習がほとんど。これはトレーニング中に会話ができるくらいの楽な強度です。

著者の宮塚英也さんによると
練習の基本は「やり過ぎない」ことだ!だそうです。
疲労が回復しないうちに次の練習をすると、身体はかえって弱くなってしまうからです。

宮塚さんの現役時代の練習時間は、最も練習量が多い時期でも、だいたい1週間に合計20
時間ぐらい、通常は1週間に15時間ぐらいだったそうです。

つぎに驚いたのが、トレーニング強度は毎回変えなければいけない、ということ。

体力が向上するためには、運動による疲労と回復の繰り返しが必要ですが、その行程を効率的に進めるために、強度の高いトレーニングと低いトレーニングを組み合わせる必要があるそうです。
運動強度にメリハリを持たせることについては、こののちに他のトレーニング本でも目にするようになりましたが、当時の私には非常に新鮮でした。

この本を参考にして、今までの判で押したようなジョギングを止めて練習にバラエティをもたせるようになりました。

白状してしまえば、10キロのランニング大会を2度走っただけで、別なスポーツを始めてしまったのですが、ランナーにありがちな脚部の故障とは無縁でした。

身体にダメージを蓄積するほど練習をしない。練習プログラムは効率的に作る。
これが長くスポーツを続けるための秘訣なのだなと思いました。

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牧野知弘著 祥伝社刊 「なぜ町の不動産屋はつぶれないのか」を読んで

リーマンショックの後、2011年に出版された本です。

日本では2005年から2008年にかけて「ミニバブル」の状況で、三大都市の地価は商業地で最大41%上昇しました。
2008年9月に「リーマンショック」と呼ばれる事件がアメリカで起こり、アメリカの不動産市況は大きなダメージを負い、日本のミニバブルも終わりました。
このとき日本国内でも多くの不動産会社が倒産しました。
しかし、倒産した会社の多くは「新興系不動産ファンド」といわれるもので、いわゆる町の不動産屋さんには影響はありませんでした。

不動産ファンドとは、ファンドの運用会社が投資家から集めた資金でビルを購入し、テナント料などから得られる運用益を投資家に配当するものです。
倒産した運用会社はファンドの運用益だけでは飽き足らなくなって、自らも自分のファンドに投資するようになった結果、金融機関が融資を引き揚げ始めた時に自分自身の資金が保てなくなったのでした。
これらの運用会社はそもそも自己資金が豊富でなく、融資によって投資用の資金を調達していた場合が多かったのです。

一方、町の不動産屋さんの主な収入源は物件売買の仲介、マンションやアパート、駐車場の管理や借家人の入れ替わりに伴って発生する手数料です。
また、契約の更新時には、手続きを代行して更新料の半分を受け取るのが一般的だそうです。
仲介の仕事は俗に「せんみつ」といわれ、1000件の案件を扱って成約率が3件といった厳しい世界ですが、一軒当たりで扱う金額が大きいので、年に4,5件も扱えれば暮らしてゆけるのだそうです。
普段は手数料収入等をコツコツ稼ぎながら売買物件をさがすという、じつに堅実な世界です。

この本では他に、不動産を売り買いするプロについても言及しており、地価のサイクルを上手に見極めれば莫大なカネを手にできるのが不動産というものだそうです。

しかし、著者の本当に言いたいことは、土地とは右から左へ動かして利ザヤをかせぐものではなく、利用して収益を生み出すことができるものであるということです。(「価値の「創出」ともいうべき側面」と著者は表現しています。)
土地は売らなくても高い利益が得られるのに、多くの人は土地を株式のように「売る」ことが最終目的と思ってしまうから、地価の上がり下がりに頭を悩ますのだと。
土地を売るものと考えずに、活用をしましょうというのです。
もしも、三井不動産や三菱地所が土地の活用を考えずに、土地の売買だけをしていたら、今の東京丸の内は存在しなかったでしょうとも言っています。

そして「サラリーマン大家さんのススメ」という章に進むのですが、土地の価値を維持していくのも、なかなか大変そう、と感じる記述も見受けられ、大家さんそんなに楽な商売でもなさそうです。
(ただ、経営がうまくいっているときの大家さんは本当にヒマらしく、一日に5回も犬の散歩に出ていた人の話も載っていました。)

あと、面白いと思った記述は、物件投資向きのキャラクターと物件運用向きのキャラクターは違うというところ。大きな違いがあるので、大手の不動産会社や、まっとうな不動産ファンドでは、物件取得のチームと物件運用のチームを明確に分けているそうです。
できればこの辺の話をもう少し知りたいと思いました。

タイトルの町の不動産屋さんについて、もう少し突っ込んだ話が知りたい気もしますが、一冊の中に不動産ファンド、売り立て業者や土地ころがし、アウトレットマンション・ビジネスからサラリーマン大家さんまでいろいろな内容が詰まっていて、読み物として楽しかったです。

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岩波ジュニア新書「アインシュタインが考えたこと」読書感想文

週末に標題の本(佐藤文隆著)を読みました。

1981年第1刷発行で、手元にあるものは1982年3月に第3刷として発行された32年前の本です。

この岩波ジュニア新書というシリーズは、中学生・高校生くらいをターゲットにしていると思いますが、大人が読んでも十分に楽しめます。

この本は相対性理論の概要を説明してくれています。文章が平易なので、あまり科学に強くない大人に、ちょうど良いかもしれません。

かく言う私も、表面的ながら、相対性理論が理解できた気分になれました。

さて、この本を読んで分かったことは以下の通りです。

  • 相対性理論には、特殊相対性理論と一般相対性理論がある。
  • 「特殊」とは複数の座標系が一定速度で運動しているという特殊な状況における理論で、主に地球上の物理法則に当てはまる。
  • 「一般」とは一定速度でない場合にまで拡張した理論で、主に宇宙でのお話しになる。
  • 質量とエネルギーは同等であって、それを数式で表したのが有名なE=mc²。
  • 重力は慣性力と同等である。地球は太陽の周りを回っているが、それは太陽に重力があるからであり、太陽には慣性力がある。つまり、太陽は運動している、あるいは太陽は宇宙を移動している(はず)。この本に直接的に「太陽は宇宙を移動している」とは書いてなかったが、そういう理屈になるはず、だと思う。
  • 時間や長さは絶対的なものではなく、条件により伸び縮みするということ。

1回読んだだけなので、理解不足・解釈誤りがあるかもしれません。別の本も読み、再度この本にも戻ってきたいと思います。

とりあえず、相対性理論が分かった気分に浸れて楽しかったです。

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